「葉隠入門」三島由紀夫
現代にも通じる葉隠のこころを三島の世界から解説。今も昔も同じ事を言われているんだなと思いました。
『アメリ』イポルト・ベルナール
映画化されたアメリの原作
童話を読んでいるかのような
かわいいイラストと語り口。
でも、内容は
ありふれた世界の中にある
人生の不思議や悲喜こもごも
みんなが抱えている一人一人の性格や思い込み
そんなものが詰まっていて
あったかい気持ちになったり
うるうるしたり
ちょっと笑ったり。
最後に「あれっ」と思って、著者の名前を確かめて
にやり。
フランスの雰囲気の香るところも
楽しい。
午後に近くのcafeで読むのにオススメの一冊です。
『一度でいいから・・・ハワイ』立原えりか
小さい頃に読んだ立原えりかさんの作品は
とっても貧乏なかんじの登場人物が多かったイメージがあり、
本書も、海外旅行が夢の時代のお話かとおもいきや、
ぜんぜん違いました。
フラダンスの仲間の話、だから、ハワイなのです。
「コンテストで優勝して、ハワイに行きたい」
という仲間一人の夢を実現するために
60歳を超えた仲間たちが一つになって
ハワイを目指す。
あまりにみんなが夢に向かって生き生きとしているので
活字を追っていると、つい登場人物の顔が60歳過ぎであることを
忘れてしまいそうになります。
それぞれに人生経験や、時に言うことを聞かない体の不調、
その他色々なものを抱えているところに、
歳を感じることもありますが、
そういうものが、物語の、そして人としての深さになるのだと感じました。
立原えりかさんの話は、ファンタジーが多く
私は、その世界が大好きだったので、
今回はファンタジー満足は得られないかな、と
思いつつ読んでいました。
でも、そこはやっぱり著者の力。
現実の中にある、こんな不思議こそが
本当のファンタジーではないか、と思わせてくれました。
それに、やっぱり、文章や口調の感じが、著者らしい。
夜の読み物として読んだのですが、
一気に読んで、満足して眠りにつきました。
『プラダを着た悪魔』ローレン・ワイスバーガー:著 佐竹史子:訳
映画がすごく有名だったので、
映画は見ないままに原作を読んでみました。
あまりにぶっとんだ編集長なので
すごく現実味がある世界なのに
異次元な感じがしてとても面白い!
採用一年目のアンドレアのバタバタした感じに合わせて
スピーディにいろんなことが起こるので
一見厚めに見える本ですが、一気に読めちゃいます。
結末が私には意外だったけど、
解釈も感想も、読んだ人次第になるところがいいのかも。
映画のCMだけを見ていたら、
ファッション雑誌社の仕事をはじめて
綺麗にかつおしゃれになっていく主人公がいて
やっぱり、仕事もおしゃれも恋愛もできなきゃ☆
みたいな話なのかと思いきや、
主人公のアンドレアは、アンチファッション業界!だし、
この本自体、華々しいファッション業界を煽るようでいて、
それに煽られている一般消費者たちを皮肉っているのかも。
ただ、仕事か情か(愛情とか家族愛とか)という下りは、
二者択一ではないと思うので、
いろんなことに無理解なアンドレアの彼氏がうざく感じられました。
ここも、意見が分かれるだろうし、それを見込んでか
深く書かれていないところがミソ。
もうちょっと深みがあってもいいかな、と思いつつ
とても面白い一冊でした。
『日々の非常口』アーサー ビナード
(おそらく)朝日新聞に掲載されたエッセイ
かなりの数のエッセイが
カラフルで絵本風過ぎないイラストと
ともに掲載されています。
そして、かなり面白かった。
日本語と英語の言葉の面白さ、
作者の文化的背景や日本の文化、歴史、
政治に対する皮肉なんかが
明るく軽く日常的に語られていて
さらっと読めます。
そのさらっと読める中に
ひとつひとつ感じるものがあるから
面白いんですね。
私が興味を持った法律的なところだと、
作者のアメリカの一納税者としてのスタイルや
日本での住民票について
知らなかったplimsoll line(満水喫水線)の逸話と
規制緩和がいいわけじゃなく規制強化がいいこともあるということ
あたりがよかったです。
いいはなしが多いのもいいところかも。
ちなみに私も財布を落としたことが(何度か)ありますが、
拾ってくれた人には(ささやかですが)お礼をしていますよ。